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『スタンド・バイ・ミー』 スティーブン・キングを読む

少年達が好奇心に駆られ、死体を見にいく話と言う点では、以前エントリーした『夏の庭』に似ているけれど、こちらの方がずっと乾いていて孤独で厳しい。主人公は子どもでも内容的には児童書というより一般書。

スタンド・バイ・ミー―恐怖の四季 秋冬編(スティーヴン・キング Stephen King 山田 順子 / 新潮社)

ふとしたきっかけから、少年達は行方不明になっている少年の死体のありかを知った。彼らは好奇心にかられ、死体の置かれているその場所に出かけることにした。線路伝いに道を歩いたその2日間の出来事を、今は小説家となった仲間の一人が振返る形を取る半自伝的小説。

少年達の過去や私生活が語られる中で、彼らの置かれている厳しい状況が浮かび上がる。その過去が厳しく暴力的であるほど、少年達のピュアな精神が際立つ。中でも、リーダー格のクリス…彼は悲惨な家庭環境にありながら、世間の偏見と不平等に絶えながらカレッジを卒業し、非業の死を遂げた。彼と主人公(おそらく作者)の関係は友情、同性愛、肉親の愛いずれでもありいずれでもない。とても不思議な感情を感じさせる。

「スタンド・バイ・ミー」のほかに冬の章として収められている「マンハッタン奇譚クラブ」に出てくる元軍医と妊婦の話はドラマチックすぎるけれど読む価値あり。茶色の目をしたこのご夫人の凛としたところに惹かれます。
by riviere7341 | 2005-10-27 13:08

日々のつれづれ


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