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西洋での理想の死?…絵本『神の魔術師』トミー・デ・パオラ

先日紹介した『ぼんさいじいさま』が仏教的な死だとすれば、この絵本はキリスト教的な思想が根底にある死の姿だといえます。
『神の道化師』
トミー・デ・パオラ ゆあさ ふみえ / ほるぷ出版
ISBN : 45935014

ジョバンニはソレントにすむ少年。
貧乏だけれどなんでも空中に投げてお手玉のようにクルクル回す芸をもっている。

その才能はイタリア中に知れ渡るようになり、
どこに行っても拍手喝采
しかし月日がたち年老いたジョバンニの腕は衰え
飽きられ
だれからも見向きをされなくなった

彼は芸を捨てることにした

ボロボロになり故郷ソレントへ戻ったジョバンニは
ある教会に潜り込む
一眠りして目を覚ますと…
信仰の厚い人たちで教会はいっぱいになっていた
今日はクリスマス

人々が帰り、空っぽになった教会

若かったころは信仰にはまったく見向きもしなかった…
しかし年老いた今
最後の力を振り絞って神に芸の捧げ物をする


「お迎えが来る」が東洋的な言い回しなら
この絵本における死は「神に召される」という言葉で表されます

原作はフランスの民話だそうで
作者はこの絵本を書くにあたり、時代考証などかなり研究したらしい
素朴な物語に付けた、素朴な絵であるようにみえて
非常に繊細な神経が行き届いている絵本です

とくに裏表紙のオレンジの植木は
シンプルな絵なのに
じっと見つめていると読み手にいろいろなことをイメージさせてくれました
by riviere7341 | 2006-04-23 23:43

日々のつれづれ


by りびい