不安な時代の犯罪は現代にも通じる 『金閣寺』 三島由紀夫著
2010年 03月 21日
『金閣寺』は高校時代に読んだあとの再読だから短期間に読めるかな~と思っていたけど、何故か時間がかかりました。付箋だらけになった。
◆あらすじ◆
主人公は地方の寺の息子。父の友人で鹿苑寺(金閣寺)の和尚に託され住み込みで坊主となる。昔父がよく語って聴かせ、その後父とと見た金閣寺は崇高なほどの美しさであり、それ以来彼にとって金閣寺は美の象徴となる。彼にはどもりがあり、人付き合いに支障をきたすこともあったが、同じ寺の塩川という友人もでき、和尚の計らいで大学にも進学させてもらう。しかし不運の重なりと彼本来の心の奥底にある暗い闇が影をおとし、やがて彼は恐るべきことを決意する。
数十年ぶりといっていい程の間隔をあけての再読でした。おびただしいといって良いほどの過剰な語彙に圧倒されて、心の中で消化するのが大変でした。でも途中で読むのやめよう~と思わないのはさすが三島由紀夫です。彼はすごい作家なんだと思います。
主人公が最後に犯す金閣寺炎上という犯罪は、不安な時代におきた現代の少年犯罪とも共通するところがありとても考えさせられました。