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『香水』パトリック・ジュースキント作 を読む

ドイツ文学者で翻訳家の池内紀さんに関心があって彼の作品を追いかけています。その途中で出会った香水―ある人殺しの物語(パトリック ジュースキント Patrick S¨uskind 池内 紀 / 文芸春秋) 読み終わりました。もしかしたらこの本は今年(2004年)読んだ本のベスト1に入るかも知れません。

奇想天外! 「鼻男」の一代記。十八世紀のフランス。あらゆる人を陶然とさせる香水を創り出す匂いの魔術師が、馥郁たる芳香を放つ少女を求めて次々に殺人を犯す 以上出版社レヴューより

カバーの装丁が官能的で、何故にこの絵を?と思ったのですが、物語の内容とカバーの絵がちゃんと繋がった意味を持っているのですね。絵はワトーという比較的地味な画家が書いたギリシャ神話「ユピテルとアンティオペ」の一部分で、カバーには眠っている女性の姿しかありませんが、絵の全部を見ると謎が解けます。
ルーブル美術館に収蔵されているというこの絵はこちらから→Jean-Antoine Watteau. Jupiter and Antiope. - Olga's Gallery
絵の全体を見てみると、あぁおそろしや。

翻訳物は私の頭が消化できなくて苦労することがあるのですが、池内紀さんの翻訳がすばらしい、読み始めたらやめられなくなります。混沌とした中に高貴と愚劣、香りと臭さ、栄光と転落が見事に描かれています。緻密で硬質な文章、そして官能的な物語を堪能させていただきました。23ヶ国語に翻訳され、今なお売れているのだとか。1987年の世界幻想文学大賞(World Fantasy Award )受賞作。
by riviere7341 | 2004-10-10 10:51

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