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庄野英二著 『星の牧場』 を読む

児童文学には、戦争下の状況を直接的に描いた作品もあるけれど、この本は
、戦いのことはほとんど描かず、自然の美しさと人々の優しさをひたすら描くことで戦いのバカバカしさを描いた作品ではないかと思います。星の牧場(庄野 英二 長 新太 / 理論社)



主人公イシザワ モミイチははにかみやであいさつもろくにできない男である。兵隊にとられインドシナ半島に行き、馬の係りとして働く。途中重い病気になり終戦を迎えて日本に戻ってくるが、彼は記憶喪失になっていた。ある日彼は軍隊時代に受け持っていたツキスミという馬が来たと言った。村の人々は彼の気が狂ってしまったに違いないと思う。
その後モミイチは山の中にちょくちょく入るようになった。彼は山の中でツキスミやそれぞれ楽器を演奏するこころやさしい人々に出会う


秋の終わりに白鳥がやってくるときのシーン、水に映った自分とツキスミの顔を見るシーン、星の牧場で流星のシャワーを浴びながらオーケストラが演奏されるラストシーンはとても美しい。また、登場人物の一人”どもり”のオーボエが人間とさびしさについて語る場面は優しい悲しみに満ちており、心打たれる。
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この作品は80年代にドラマ化されているようです。私は見逃していたのですがキャスティングがすごい。
バイオリンを弾くオカイコの少女が千住真理子さん。その兄が千住明さんなのです。原作とはすこし趣が異なるドラマになっているらしいのですが、再放送があったら観てみたいものです。
by riviere7341 | 2004-08-15 17:40

日々のつれづれ


by りびい