トスカーナの風に抱かれて『千葉勝展』
2010年 01月 24日
千葉勝はどちらかというと有名な画家ではないかもしれません。私もつい最近岩手県出身の画家を集めた展覧会で初めて知ったような有様です。そのときの印象は、強く心惹かれるというより、何故か覚えている、なにかしら気になる作品を描く作家というものでした。
千葉勝は、岩手県水沢市(現・奥州市)出身で、日本に住んでいたとき好んで使っていた"バーント・シエナ(焼けたシエナ土)"という褐色の絵の具の名がイタリア・トスカーナ地方のシエナに由来することを知り、32歳でイタリアシエナに渡ります。その後白血病に倒れるまでイタリアトスカーナ、中世の街シエナに住み、シエナを愛し、シエナを描き続けました。
作品は抽象画が多く、以前1,2枚だけ彼の絵を見たときはよくわからなかったのですが、こうして120余の作品を続けて見ていくと、不思議なことに、私がまだ訪れたことのないトスカーナが感じられるのです。
油絵のほかに陶画(タイル画)やステンドグラスもあり、とても新鮮でした。
↑県立美術館からの眺めが好きです。
作品の良さはもとよりですが、私には故郷以外の場所をこんなに愛し続けた千葉勝という人が、人としてとってもチャーミングに思えました。私にはそのような土地があるのか?と
作品の横に添えられた千葉勝によるトスカーナに捧げる愛と尊敬あふれるメッセージを読んで、私もいつかトスカーナ、シエナに行ってみたいと強く思いました。シエナは1995年世界遺産に登録されています。
この日私はちょうど持っていたタスカンソウルという香水をつけて行きました。タスカンソウルとはトスカーナの魂という意味です。
展覧会は20010年2月14日(日)まで 岩手県立美術館にて